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実家が突然空き家に!どうすればいい?|空き家のまま放置すると罰則も
2026.03.03
トラブル・解決法

近年、日本各地で深刻化している「空き家問題」。
増え続ける空き家がもたらすトラブルは、地域住民の日常生活や安全性に大きな影響を及ぼしています。
倒壊や火災のリスク、不法侵入やごみの不法投棄、さらには景観の悪化など、空き家が抱える課題は多岐にわたります。本記事では、空き家が引き起こす様々なトラブルとその背景、そして所有者が取るべき対策について、詳しく解説します。
※本記事は2026年2月に作成したものです。
目次
空き家がもたらすトラブル
空き家をそのまま放置してしまうと、さまざまなトラブルの原因となります。
空き家問題への適切な対策を講じることは、安心で快適な街づくりのために欠かせない課題です。
近隣住民への苦情
実家を相続したものの、離れた地域で暮らしていたり、仕事や子育てが忙しい場合はなかなか実家を訪問する時間が取れず、つい管理を放置しがちだと思います。
ところが、離れて暮らしているからこそ放置していると知らないうちに状況が悪化し、様々なトラブルが発生する恐れがあります。
民家は一度空き家になれば定期的な管理を行わないと急速に劣化が進んでいきます。
例えば、屋根や外壁が崩れかかったり、屋内ではネズミなどの害獣やシロアリ・ゴキブリなどの害虫が繁殖したりすることも。
家屋の倒壊・屋根や塀の崩落にとどまらず、庭木の越境などでも近隣住民の生活環境の悪化を招き、生命の安全に大きな影響を及ぼしかねません。
空き家になってからも定期的に手入れを行い、適正な管理を行うことは所有者としての義務です。
犯罪などのリスク

空き家はごみや家電製品などの不法投棄のみならず、不審者による放火、空き巣被害・犯罪者の不法占拠など、様々な犯罪の温床になりかねません。
定期的な訪問が難しい場合は、看板やロープを設置することや、センサーや防犯カメラを設置して遠隔で監視することなど、不審者の敷地への侵入を防ぐ対策をとることが重要です。
行政から所有者の管理不足と判断された場合は、『管理不全空家』として行政処分の対象となる場合があります。
また、放火等により火災を招いた場合は「重過失」として膨大な損害賠償を背負うリスクがあります。
重過失とは、所有者が火災等の危険性を認識しながら適切な管理を怠り、本来防げたはずの状況を放置した場合に認定されることが多く、具体的な状況は個別の判断となります。
その場合の多くは失火責任法が適用されず、所有者として多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
特定空家等の指定
空き家のまま放置すると行政から『特定空家等』の指定を受ける場合があります。
特定空家等とは次のようなケースを指します。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空家等に指定されると、行政は『除却』、『修繕』、『立木竹の伐採等の措置の助言や指導』、『勧告』、『命令』を行うことが可能となり、それでも所有者による必要な措置がとられない場合は、所有者等の費用負担によって『行政代執行』を行うことができます。
また、所有者に対しては50万円以下の過料に処される場合があります。
更に、特定空家や管理不全空家の指定を受けた後に行政から勧告を受けると、固定資産税などの優遇措置を受けることができなくなり、所有者への税負担が増えることにもつながります。
空き家対策として行うこと
空き家を放置することで発生するさまざまなトラブルを防ぐためには、適切な空き家対策が不可欠です。
管理や活用方法を見直したり、専門家へ相談したりすることで、空き家が抱えるリスクを軽減し、地域の安全や景観を守ることができます。
相続登記の確認
2024年4月の法改正に伴い、不動産の相続登記が義務化となりました。
相続登記とは、相続した不動産の名義の相続人への変更を登記簿に記載する手続きを指します。
これにより、全国で急増する所有者不明の空き家や土地を減らし、トラブル等を未然に防止する効果が期待されています。
なお、相続登記には不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に手続きを完了しなければならないといった義務が課されており、それに正当な理由がないのに違反すると最大10万円の過料が科される場合があるため、注意が必要です。
家族などとの相談
家屋や土地などをいきなり相続した場合、まずは何から行えばよいのか、どの手続きをいつ・どこに申請しなければならないか不安になると思います。
相続は“争う相続”と書いて『争続』になるケースも多々あり、些細なことをきっかけとして親族の分断や紛争が起こりかねません。
そうならないためにも、お正月やお盆など親族が集まるタイミングで充分な話し合いを重ね、意思疎通することが何よりも大切です。

空き家の処分方法
空き家を適切に管理し、地域の安全や環境を守るためには、早めの空き家対策が重要です。
放置された空き家がもたらすトラブルを防ぐために、所有者がどのような取り組みを行うべきか、効果的な空き家対策について詳しく解説します。
空き家の解体
空き家を売却することが決まった場合、更地に戻してから土地を売却するか不動産のまま売却または利活用するかのパターンが主に挙げられます。
まず、空き家を解体して更地にしてから売却する場合をご説明します。
例えば家屋の築年数が古く老朽化が進行している、外壁の剥離や軒先の崩落などが目視で確認できる状態ならば、維持費や修繕費用に多額の費用がかかるため、空き家を解体して更地の状態に戻してから売却した方が良い場合があります。
更地にすることにより、台風や地震などによって倒壊する危険性や、放火などによる火災についても未然に防ぐことができます。
また、更地にしてから売却を行うなど一定の条件を満たすと『空き家の発生を抑制するための特例措置』の税制優遇の適用を受けることが可能となる場合があります。
その場合は当該家屋または土地を譲渡した場合は、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます。
更に更地にすることで不動産会社等にも売却しやすい状態となるため、保有不動産の処分という点でも有利です。
ただし、更地にすると固定資産税における住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が3倍~6倍になる可能性があります。
空き家の売却・賃貸
一方で、築年数が比較的新しく、大規模な修繕が不要な場合や、新耐震基準を満たし耐震性に問題がない場合、立地条件が好立地である場合などは、解体して更地にするよりもそのまま売却したり、賃貸物件として活用した方が望ましいケースがあります。
空き家を賃貸物件とすることで、日常管理の手間から解放され、建物の思い入れのある実家を手放さずに安定した賃貸収入を得ることが可能となる場合があります。
ただし、賃貸物件にする前に不動産価値を高めるため必要なリフォームを行ったり、エアコンや給湯器が故障した場合はその度に交換費用を負担して対応するなど、管理人としての負担が発生するので注意が必要です。
そのようなリスクを理解したうえで信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。
自治体によっては、空き家相談に関する専用窓口である『空き家バンク』を設置している場合もあり、困ったときは自治体に相談することもできます。
シェアハウスとしての利活用
近年では空き家をシェアハウスとして利活用する事例も増加しています。
シェアハウスとは一つの住居を複数人の同居人で共有して居住する賃貸物件のことで、居住者は風呂・トイレやキッチンなどを共有スペースとし、個室をプライバシー空間として利用します。
シェアハウスは所有者が知人など親しい人に貸す場合と事業者が運営する2パターンに分かれます。
また、政府も空き家の利活用を促進するための支援制度を整えており、高齢者や障害者などの住宅確保要配慮者専用の住宅として登録した場合は、バリアフリー工事などの改修費補助や所得の低い入居者に対する家賃補助などの支援が受けられる場合があります。
おわりに
以上、空き家を相続した場合に注意する点について簡単にご説明しました。
最も重要なことは自身で抱え込まず、ご家族や行政、専門家に相続することです。
個人ですべての手続きを行うのは大変な労力がかかり、平日に有給休暇を取得して必要書類を用意して対応するよりも、専門家に手続きを任せた方が確実なケースも多々ございます。
郵便局では、地域に精通した局員が空き家の定期的な訪問を行い、状況を報告する『郵便局の空き家みまもり』のサービスを提供しています。詳細についてご興味のある方は、こちらのページをご確認ください。